「NASって、HDDを2台入れたら写真は消えへんの?」
「1台壊れても大丈夫って書いてあるで」
「じゃあ、バックアップはもういらん?」
ここで家のIT担当は、少し考え込みます。
結論から言うと、RAID1はHDD故障への備えとして役立ちますが、バックアップの代わりにはなりません。
RAIDは、HDDが壊れたときにデータを使い続けやすくする仕組みです。一方、バックアップは、誤操作やNAS本体の故障などに備えて、別の場所にデータの控えを残すことです。
似ているようで、役割が違います。
この記事では、家庭用NASでよく見るRAID1を中心に、RAIDとバックアップの違いを初心者向けに整理します。
RAIDとは、複数のHDDを組み合わせて使う仕組み
RAIDは、複数のHDDを組み合わせて、容量、速度、故障への強さを調整する仕組みです。
NASの商品説明ではいくつか種類を見かけますが、最初から全部覚える必要はありません。
家庭用の2ベイNASを検討している初心者なら、まずはRAID1を理解すれば十分です。
RAID1は、同じデータを2台のHDDに保存する
RAID1は、2台のHDDに同じデータを書き込む仕組みです。ミラーリングとも呼ばれます。
たとえば、4TBのHDDを2台使ってRAID1を構成した場合、HDDの合計は8TBですが、保存に使える容量は基本的に4TBです。
| HDD構成 | 保存に使える容量の目安 | HDDが1台故障したとき |
|---|---|---|
| 4TB HDDを1台 | 4TB | データを読めなくなる可能性がある |
| 4TB HDDを2台でRAID1 | 4TB | もう片方のHDDから読める |
「8TB分のHDDを買ったのに、使えるのは4TBなん?」
そう思うかもしれません。
残りの4TBは無駄になったのではなく、同じデータを持つ控えとして働いています。
片方のHDDが故障しても、もう片方に同じデータが残っていれば、データへアクセスしやすくなります。故障したHDDを交換し、RAIDを再構築することもできます。
家のデータ置き場を止めにくくする仕組み、と考えると分かりやすいです。
RAID1でもバックアップにならない理由
RAID1は便利ですが、万能ではありません。
2台のHDDへ同じデータを書き込むため、消してしまったデータも2台から消えます。

誤って削除したファイルは戻らないことがある
家族写真を整理しているときに、必要なフォルダまで消してしまうことがあります。
RAID1では削除操作も反映されるため、2台のHDDに同じように残り続けるわけではありません。
「2台に入っているから、片方には残ってるやろ」と思ったら、両方からきれいに消えている。これは笑えません。
NAS本体の故障には備えきれない
RAID1は、主にHDD故障への備えです。
NAS本体の故障、電源トラブル、落雷、水濡れ、盗難などでは、2台のHDDが同時に使えなくなる可能性があります。
同じ箱の中に入っている以上、運命共同体になる場面があります。
ウイルスやランサムウェアの影響を受ける場合がある
パソコンからNASの共有フォルダへアクセスできる状態では、不正なソフトウェアの影響がNAS内のファイルに及ぶ可能性もあります。
RAID1は、不正な変更まで元に戻してくれる仕組みではありません。
RAIDの再構築中に別のHDDが故障する可能性もある
片方のHDDが故障したら、新しいHDDへ交換してRAIDを再構築します。
ただし、再構築には時間がかかります。その間に残ったHDDにも問題が起きる可能性はゼロではありません。
RAID1は頼れる担当者ですが、一人で全部背負わせる運用は避けたいところです。
RAIDとバックアップの違い
RAIDとバックアップは、守る場面が違います。
| 仕組み | 主な役割 | HDDが1台故障 | 誤削除 | NAS本体の故障 | 別の場所にデータが残る |
|---|---|---|---|---|---|
| RAID1 | HDD故障時も使い続けやすくする | 対応しやすい | 基本的に弱い | 弱い | いいえ |
| 外付けHDDへのバックアップ | データの控えを残す | NASとは別に残る | バックアップ時点のデータを戻せる場合がある | NASとは別に残る | はい |
| クラウドへのバックアップ | 離れた場所にも控えを残す | NASとは別に残る | 世代管理があれば戻せる場合がある | NASとは別に残る | はい |
RAID1は、同じ仕事を引き継げる担当者を同じ部署に置くようなものです。
片方が休んでも、もう片方が業務を続けられます。
バックアップは、重要な資料を別の場所にも保管しておくことです。
就職氷河期世代の家のIT担当としては、「少数精鋭で幅広く活躍できる方」と言われると少し身構えます。RAID1にも全部を任せず、別の場所に控えを残しておきましょう。
家庭用NASではどう考えればいい?
初心者が家庭用NASを使うなら、次の考え方がシンプルです。
- NASは2ベイモデルを検討する
- 大事なデータはRAID1などでHDD故障に備える
- 本当に失いたくない写真や書類は、外付けHDDやクラウドにもコピーする
この3つを分けて考えると、迷いにくくなります。
最低限なら、NASと外付けHDDを組み合わせる
まず始めやすいのは、NASに保存した大事なデータを、定期的に外付けHDDへバックアップする方法です。
NAS本体と外付けHDDを常につなぎっぱなしにするか、バックアップ時だけつなぐかは、使い方によって変わります。
大切なのは、NASの中だけで完結させないことです。
特に重要な写真はクラウドにも残す
子どもの写真、家族旅行の動画、重要書類など、取り戻せないデータはクラウドにも残すと安心です。
NAS、外付けHDD、クラウドの3か所すべてを最初から完璧に整える必要はありません。
まずは「消えたら困るデータ」だけでも、別の場所へコピーしましょう。
NASのバックアップ機能も確認する
NASには、外付けHDDやクラウドへ定期バックアップできる機能を備えた製品があります。
製品を選ぶときは、容量や価格だけでなく、バックアップ設定が分かりやすいかも確認しておくと安心です。
必要な容量の決め方は、家庭用NASの容量は何TB必要?で整理しています。
外付けHDDやクラウドへ控えを残す方法は、NASのバックアップはどうする?で具体的に確認できます。
NASの基本的な使い道は、NASとは何ができる?家庭用NASの使い道を初心者向けに解説で整理しています。
商品説明で別のRAIDを見かけたら
NASを比較していると、RAID0やRAID5という言葉も見かけます。
初心者は細かい仕組みまで覚えなくても大丈夫です。購入前に、次の違いだけ確認しておきましょう。
| RAIDの種類 | 特徴 | 初心者向けの考え方 |
|---|---|---|
| RAID0 | 複数HDDの容量を広く使えるが、1台故障するとデータを失う可能性がある | 容量を優先する構成。大事な写真の保存先としては慎重に考える |
| RAID1 | 2台に同じデータを書き込む | 2ベイNASで分かりやすい選択肢 |
| RAID5 | 3台以上を使い、容量と故障への備えを両立しやすい | ベイ数が多いNASで検討する |
機種ごとに対応方式は異なるため、購入前に仕様を確認してください。迷ったら、家庭用の2ベイNASではRAID1を基準に考えると整理しやすくなります。
ただし、どの方式を選んでも、RAIDとバックアップは別物です。
ここだけは変わりません。
よくある質問
RAID1ならHDDが1台壊れても使えますか?
基本的には、もう片方のHDDでデータへアクセスできます。
ただし、故障を放置せず、早めにHDDを交換して再構築してください。
2台のHDDは別メーカーにした方がいいですか?
初心者の場合は、まずNASメーカーの動作確認済みHDDや推奨条件を確認してください。
容量が異なるHDDを組み合わせると、使える容量が小さいHDDに合わせられる場合があります。
RAID1とクラウドはどちらを選べばいいですか?
どちらか一方ではなく、役割を分けて考えるのがおすすめです。
RAID1はHDD故障への備え、クラウドはNASとは別の場所に控えを残す手段です。
NASを買ったら最初に何をすればいいですか?
初期設定とアップデートを行い、共有フォルダ、ユーザー、パスワードを設定します。
そのうえで、大事なデータをどこへバックアップするか決めましょう。
外出先アクセスを使う場合は、セキュリティ設定も確認してください。家庭内ネットワーク側の基本は、Wi-Fiのセキュリティ設定は何を選ぶ?でも整理しています。
まとめ:RAID1は便利だが、別バックアップも用意する
RAID1は、家庭用NASを安心して使うための有力な選択肢です。
2台のHDDへ同じデータを書き込むため、片方のHDDが故障してもデータを使い続けやすくなります。
ただし、誤削除、NAS本体の故障、トラブルによる同時損失までは防げません。
- RAID1でHDD故障に備える
- 外付けHDDやクラウドにも控えを残す
- 消えたら困るデータから優先して守る
この3点を押さえておけば、NASを買ったあとに「え、バックアップ終わったと思ってたんやけど」と慌てずに済みます。
RAIDは頼れる仕組みです。ただし、家の大事な写真を守る係まで、全部一人に任せないようにしましょう。


